杉皮はぎ

昔、杉皮は貴重品であった。
立ち木のまま大鉈(なた) で三尺(90センチ)ごとに切り目をつけながら枝のある ところまで軽子(かるこ)で登る。上部からはぎとり 破れないよう放り投げながら順次、下に降りてくる。 この作業ほ大変に危険でむずかしい。
はいだ跡がずるずると滑るため、 ひざで重心をとりながら作業を進める。
 だれが考えたか知らないが、昭和初期ごろから図の ような引き廻り鎌ができ、立ち木を倒してからこれで 切り目を付けてはぐようになった。
しかし、立ち木の ままではいだ皮よりは、傷みが多く質がおちる。

大木の伐採

太い立ち木を切るとき、まず根元の張った部分 を大斧(おの)で荒削りをし、削り刃で仕上げる。 次いで倒す方向に受けを切る。受けの切り方に よって倒れる場所が決まる。
 その後、受けの反対側から大鋸で引き込む。鋸 の背が見えなくなるころを目安に、矢を何枚も打 ち込む。これを欠を〆(しめ)るという。 さらに鋸を引き込み、同時に矢を少しずつ掛け欠 で打ち込む。太い老木などほ矢を十数枚も打ち込 むことがある。
 傾いた木を切るとき、傾きの方向に倒すのは難 しくないが、場所によっては反対側に倒す場合が ある。 このときは二人がかりで作業する。一人が 徐々に矢を〆ながら、反対で鋸を引き込む。神社 や寺院の老木を切る際、現在もこの手法を用いる。