川上臼

 三番目に川上臼について述べる。中継地、終路の適当な切り株を利用して設け、 通常、馬子が一人つく。滑ってきた材木をこの株に当てて勢いを緩め、馬子が下の 修羅へ移す(あるいは終路の場合は土場にまとめる)。
 材木がひっきりなしに滑ってくるため、馬子は重労働でないにしても、気を使う油断 できない作業である。もし材木をつぎの修羅へ落とすのが遅れると、あとからくる材木 が当たり収拾がつかなくなり、作業中断の合図「オーイ」をかけなければならない。
 無形のものを考えて見通しをつけることを日巧(めつこう)(見通し)が利く、その 目巧によってつくることを巧斜という。
図のように巧斜したものが川上日の一例である。修羅を滑ってきた材木が臼 に当たり、とまったところを馬子が整理する。積み上げた材木は、あらかじ め分類しておき、それぞれを木馬または軌、牛事、馬車、架線、筏などの方 法で各所に運ぶ。
 臼を大きく分けると、川上臼、土臼飛び付き臼、投げ臼になり、山の状況 や地形によって使い分ける。

堰出し



林道の開発、機械類の進歩などで姿を消してしまった伝統的な搬出法のひとつ、 堰出(せぎ)しを再現してみよう。 その昔、林道はなく、木馬道を設定するにも地形的、技術的に多くの困難を伴 うことがあった。 堰出しはそのような場合の一搬出法である。 水量の少ない谷川を材木で堰止め、 運河をつくって流し出す。 鉄砲堰のように大掛かりでほないが、簡単につくれるものではない。目先が利く うえに慣れた者がいなければできない。 堰の構造を部分的に図示しょう。まず山形になるように材木を組み上げる。 地形によって高低は異なむが、70センチから1メートルがふつうである。